026 PVノデキルマデ
山崎良プロフィール

年間を通してゲームソフトやハードの新作を発表する場として大規模なイベントがいくつかあります。E3(Electronic Entertainment Expo)や東京ゲームショウなど実際に会場へ足を運ばれたことのある方も多いのではないでしょうか。

さて、こういったプロモーション映像(以下PV)の楽曲は一体どうやって作られているのか?

まず、当然ですがそのゲームが初めて発表される時点ではゲーム中のメインテーマ等の音楽は殆ど出来ていないことが多いです。しかし、それでもプロモーション映像を通じてゲームのイメージや面白さをお客さんに要約して伝えなくてはいけません。

そこでディレクターや映像担当と綿密な打ち合わせを行い、PV専用の楽曲を作る作業が始まります。状況によっては生のオーケストラ等で華々しく見せることもありますが、シンセの打ち込みだけで完パケたりすることもあります。こういったPV用の楽曲はそのまま本編のメインテーマになることも多いのですが、PV限定の曲になってしまう場合もあります。今回は「Dirge of Cerberus - FinalFantasy VII」のPV素材を例にその過程の一部を紹介します。

「Dirge of Cerberus - FinalFantasy VII」


01.【DoCPV1】
浜渦氏のオーケストラ部分にハリウッド映画等で多く使用されるドラムとパーカッションを足し、勢いとハデさを強調。エンディング手前部分を少し盛り上げつつ静かに終息。「Dirge of Cerberus - FinalFantasy ・」のプリプロ(※)一発目のデモです。

※プリプロ・・・プリプロダクションの略
        製作の準備段階。企画書をもとに脚本・設定・絵コンテ・音楽等を
        製作しプランニングを行う事。
        

02.【DoCPV2】
ディレクターから「ヴィンセント」の業を背負ったような『悲痛な感じ』をもっと出しつつ、エンディング部分に向けて加速的に盛り上げて欲しいとの注文を受け、【DoCPV1】を大幅に改造。浜渦氏のピアノが加わりオケに合わせたコーラスサンプルを使ってみました。後半には弦のクラスターサンプルを貼ったり、キメの部分に金属パーカッションを足したりと細かい演出を試みています。

03.【DoCPV3】
映像のディレクターより「更にラストのキメ部分を盛り上げることは出来ないか」という要請を受け、管と弦で厚みを加えハデさを強調。

04.【DoCTGS】
キメの後にタイトルロゴが表示される事になったため、不気味な雰囲気の演出を試み、大きな鋼材を叩いたような重厚な金属音を入れる。風の音のようなホワイトノイズを足し殺伐とした感じを強調しています。これが2004年度の「東京ゲームショウ」バージョンとなりました。

そしてこちらは2005年度の「E3」バージョンです。
05.【DoCE3】
映像の構成が大幅に変更になった為「東京ゲームショウ」のものを更に改良しています。まず、イントロに大人数のコーラスサンプルを張り、荘厳なイメージを前面に。そして、映像のテンポアップ感に合わせてリズムを挿入。中盤の盛り上がりから終息にかけての構成は「東京ゲームショウ」バージョンを踏襲しつつも更に畳み掛けるような感じに。ちなみに、中盤のモチーフはゲーム本編のムービーシーンでも使用されています。(発売中のサウンドトラックで聴き比べていただくとおもしろいかもしれないです。)

「Dirge of Cerberus - FinalFantasy VII Original Soundtrack」


こういった製作過程を経て、出来上がった音楽は効果音やダイアログ(声優さんの声)がミックスされ、ようやく完成に至ります。ゲーム本編の作業と違うのは、短い時間の中にゲーム全体のイメージを凝縮しなければいけない事。そしてその一曲でどういうゲームかを伝えきらなければいけないことです。会場で見ると一瞬で終わってしまうかもしれませんが、その裏側に製作スタッフの試行錯誤の跡が隠れていたりします。

さて、5月12日(土)〜13日(日)にはいよいよ「SQUARE ENIX PARTY 2007」が開催です。会場でPVを見かけた時に、このようなことを少し思い出しながら観て頂けると幸いです。


皆さんのご来場お待ちしてます!

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