021 ノスタルジー
山崎良プロフィール

 しばらくお休み頂いてました。で、実家へちょろっと帰ってた訳ですが、たまたま物置を漁っていたら懐かしいモノが出て来ました。
 中学生の頃にかき集めたシンセのカタログです。市街の楽器屋に行ってはよくカタログをもらって来て読みふけっていたものです。意味が分からなくても眺めてるだけで幸せだったんでしょう...。その他シンセ関連の書籍等山のようにあったはずなのに残ってたのはこれだけ。もっとちゃんと残しておけばよかった...。
 どっぷりノスタルジーに浸りつつさらにほじくり返してみたら、昔使っていたNECのPC-8801MAと大量のソフト群が出て来ました。5インチフロッピーですよ。懐かし〜。動くのか?これ...。

 そしてその中に混じって出て来た「ミュージアム サウンドボード2」という楽曲作成ソフト。当時、パソコンの大きな画面上で曲データを管理するというのに凄く憧れていて、入門用として初めて買ったシーケンスソフトがこの「ミュージアム」でした。おし、これを動かしてみよう。薄いディスクを挿入し恐る恐る電源を入れると...。ガチガチとディスクアクセスの音と共に起動し始めました!こんなうるさかったっけ...。

 PC-8801MAはサウンドボード2という音源ボードを搭載しておりFM音源6音+SSG音源3音+リズム音源6音+ADPCM1音という当時にしてはハイスペック。その頃一般的だった民生用PCやファミコンでもPSG音源が3音程度だからそれらに比べればかなり贅沢。それまでパソコン内で曲を作ったり打ち込む時はBASIC言語で直接プログラミングしていてとても面倒だったのですが、「ミュージアム」では画面の五線符に音符を置いていくだけのシンプルな操作法だったのですんなり入っていけました。しかし一つのトラックには一つの音符しか置けなかったので和音を入力するには他のトラックを使用することになり、全体を把握するのに非常に苦労した辛い思い出も。1トラックだけサンプリングした音を使用することも出来たのでそこら中の音を録音しまくってヘンテコな曲を沢山作った思い出深いソフトであります。

 最近ではPCやソフトの性能も格段に進化して、ノートPC1台あれば作曲から録音、CD制作まで一通り出来るようになりました。この進化によって「限られた仕様の中で何ができるか」ということよりも「何を作りたいか」という根本的な発想に時間を費やせるようになってきたことはある意味幸せなのかもしれません。しかし出来る事が限られているからこそ出てくる「独特の発想」や「工夫する努力」という部分はコンピュータがどんなに進化しても忘れたくないものです。
 人は贅沢に慣れていってしまうものですが、もし音楽制作における煩わしさが全く必要無くなり誰でも音楽がパッと作れるようになったとして、はたして我々はそういうものに満足するのでしょうか?結局はコンピューターが進化すればするほどもっと面倒臭いことをしてオリジナリティーを追求していくのが我々モノを作る人間の性のような気がします。使う側も一緒に進化していっていることを信じたい...。とは言えやっぱり便利なものの誘惑にはなかなか勝てないのもこれまた人なり。分かってます、分かってますけど便利って怖い!

 今回十数年ぶりにPC-8801MAに触ったことで当時の熱意みたいなものが猛烈な勢いでフィードバックしてきました。自分にとってPC-8801MAは今の仕事をやるきっかけの一つであることは間違いないくらい、思い入れの強い機材なのです。きっと他のサウンドスタッフにも同じように「キュン」とするような懐かしくて思い出深い機材ってあるのでは?今度『私の思ひ出の機材』なんて企画提案してみようかなー。どうだろ。
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