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ワルシャワ 09/10/30

今回は海外でもオケ収録をやって参りました。ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団!自分の中で海外収録するなら東欧かなというのがありました。ワルシャワフィルは日本の作曲家にとても評判がよく、日本のドラマやアニメの音楽もたくさん演奏しています。シマノフスキを得意としているらしく、個人的にも迷いようが無い^^エンジニアもコンダクターも日本人がどういうものを望む傾向にあるかを知っているようで、テキパキと望む方向へどんどんやってくれるのです。オーケストレーションを担当していただいた平野義久さん(ダージュオブケルベロスでもお世話になりました)も「こんなに楽なディレクションはないですね〜」と驚いておられました。ショパンコンクールも行うホールで激しい曲ばかりを収録。休憩時間、コンダクターにすれ違い様に「エキサイティング!」と言われましたが、半分は「激しすぎる!」ということだったようです^^;帰国後、音楽関係者にテイクを聴いてもらうと一様に「…巧い!」との驚嘆の声。想像以上のレコーディングができて大満足でした。

さて、現在はサントラの作業に入っています。かなりのボリュームで曲順決めだけでも大変です。ライナーも書かなければ…!本編が終わってもなかなか休めません^^;



工程 09/9/30

ぷふ〜…深夜です。やっとここまで来たという感じです。

FF13の発表から随分経ちましたが、音楽の製作期間はバトルテーマ「閃光」やゲームイベント用曲を除いて、大半がこの一年以内に作ったものです。実稼働からが本当にすごいスケジュールでした。デカいタイトルの上、「これは間に合わん!」と猛烈に焦った末に思いついたのは、マニピと一緒に一曲、形にしてはディレクターチェック…というのをやらず、一ヶ月ほど一人でブースに閉じこもって一気に20〜30曲を同時進行で作るという方法でした。数が揃ったら、まとめてディレクターに渡して一気にチェックしてもらう…というのを3回ほどやりました。20曲くらいのシーケンスをずらーっと並べて、数分から数十分おきに作り、少しでも滞りかけたらすぐに別曲へ…と、どんどんローテーションしていきます。そうするとどの曲も常に新鮮な耳で聴けるので「どこをどうすればよくなるか」が解り、「煮詰まる」ということが少なくなるんですね。またディレクターも沢山の曲を一気に聴く事で、比較したり全体像を掴みながら判断できます(と書いたものの、鳥山さんはどう思っておられたか…^^;)。

それと音楽スタッフと何度もデータ交換しながらブラッシュアップするというのもほとんどやりませんでした。「一度流れが止まる」×「数十曲」というのはこのスケジュールでは致命的なのです(笑)。それに複数人でベーシックから作ろうとすると、効率がいいようではありますが、結局ディレクションに時間と労力がかかってしまいます。方向性を指示したりやりとりするくらいなら、それはリアレンジやオーケストレーションからの話にして、自分でやってしまったほうが気楽なんですね。またすぐ人の意見を気にするタイプなので、一人でコンセプトを決めたほうがグダグダしなくていいですし、周りの目を気にせず結構間抜けな発想でも気楽にデモ作りができる(笑)。もうこれで打込み終了!となったらそれであとはミックスorレコーディングへ、あるいはアレンジ担当者にパスし、グレードアップしてもらうのですが、その間はもう次の曲をやっている…という流れです。

そういえば今回はスランプとか一曲に詰まり続けるみたいなことはほとんどなかったように思います。これは絶対、ゲーム性やシナリオ、映像のおかげですね。これだけ魅力あるゲームだと絵やキャラを見たら、どういう音楽が必要かとても考えやすい!特に楽しかったのが、ムービーやイベントの動きに合わせて曲をシンクロさせて作る作業でした。キャラがこう動いた時にこの楽器を鳴らし転換と同時に転調…とか、ここはこいつとこいつが出てくるから、二人のテーマをかけあわせて…、みたいに考えて作って行くのが最高に面白かった。またディレクターの鳥山さんの選曲技術が本当に天才的で、ここにこの曲をこう使うか!とニヤけまくりです。

ぷふ〜…。とにもかくにもなんとか乗り切ったかな…^^;

発表! 09/9/14

ひっそり更新…。一週間に一度って完全にウソつきでした。こんなに手が着かないほど忙しくなるとは…^^;

まだまだやらなければならないことは山ほどありますが、新規に作るものは先月で終わり、創造に一分でも割かなければ!みたいな焦燥感はなくなりました(笑)。

さて、先日8日、ファイナルファンタジーXIIIの制作発表会があり、私も一瞬ですが登壇して参りました。本編で使われる楽曲のオーケストラの演奏も行ったのですが、素晴らしい演奏で登壇前の緊張も吹き飛ぶくらいでした!いざ、登壇となるとガッチガチでしたが(笑)。人前はホントにダメだというのに…^^;それはさておき、その場でもお話しさせていただいたのですが、今回の音楽はかなり挑戦してしまったのではないかと思います。開発当初はプレッシャーとの戦いになるかと思ったのですが、FF13の世界観、ゲーム性があまりに優れていたので、ここはこういう曲だ!とずっと興奮しつづけたまま…気付くともう9月!なんとか乗り越えられそうです。

発売日も発表されたという事で、次回からFFXIIIの音楽制作の現場について書いていきたいと思います!


オケです。

白髪が増えた…。

Trial Version 09/4/23

最近、趣味とかライフワークとか、この歳になって、しかも仕事もそれなりに忙しくなっているのに、なんだかそういったものが増えて来て毎日がやることがいっぱいな感じです。ふと思ったんですが、「若い頃はこんな夢があったがもう一度やってみたくなった」、「今になって急に興味が湧いてきて趣味に留めておきたくなくなった」、なんて思う事、そんなに少なくはないのではないでしょうか。就職のタイミングで不況だったりする世代というのもありますし、ある一定の若い時期に人生の大まかな計画を決めたり準備しなければならないというのもヘンな感じです。例えば40歳になって、自分の仕事や趣味、経験、出会いを通して、大きなものを得るようになった事で、「俺さぁ、作曲の仕事もできるようになろうと思うんだわ」とかいうことがあっても面白いと思います。もちろん面白いだけでは生きていけませんが、絶対あり得ないという話とも言えない。この可能性がもう少しだけでも広がるような状況があれば、例えばそういう経緯を経た人ならではの音楽が生まれてきたりと、世の中がもう少し明るくなる気もしています。

さて、いよいよFINAL FANTASY XIIIのTrial Versionです。社内で何人かに評判について声をかけてもらい、それで、「あ、そうか」と気付きました。発売日も曲書きでヒーヒー言っておりました^^;がんばります!

影響 09/4/10

もしその時、眠かったら、焦っていたら、不安だったら。発想が広げられず、その曲は産まれなかったかもしれない。逆に調子がよかったら、もっといいものが出来たかもしれない。なんて考えることがありますが、一度作った曲をリセットして別のシチュエーションで作ることができないので、ハッキリは言えません。ただその時の心境が何かと制作に影響することはあるのではないかと思います。例えば物凄く腹が立つことがあって、でもその原因にぶつける勇気もなく仕事で気を紛らわせようとしたら、その曲に何か影響したのか破壊力のあるものになった…ということがないことはなかったよなぁと。

そういえば最近でもとても嬉しい出来事があって、それが曲にモロに出て悦に入ったりしてました。かと思うとショッキングな事実をつきつけられ、今度は全然集中できず…えーい今日はもう上がりじゃ!とロクに書けなかったり。それでまた、今度はその事件の辛さや淀みを曲にぶちこんで表現してやろう!とか(辛いわ書けないわでは破滅だと自分に言い聞かせ)。…結構ありますね。そうやって考えると、どの曲も自分一人では生み出す事はできなかったと言えるのではないでしょうか。しかし非常にあぶなっかしいコンポーザーですね…^^;

好きな作業 09/3/25

ゲームの作曲作業で昔から好きなのは、戦闘などめまぐるしく状況が変わるシーンのムービーやイベントの曲を、映像を見ながらリアルタイムで合わせるというやつです。FFXの曲「襲撃」がその最初だったと思います。今は映像をmovファイルにすればシーケンサーにひっかかるので楽々ですが、当時はビデオにゲームの映像を録画して、何度も繰り返し再生しながら、シーケンサーを同時に流して当てていかなくてはなりませんでした。(もちろん映像をひっかける機械は存在していましたが、普段あまりやらない作業で自分のブースにそういうものを入れるわけにもいかず…)片手にリモコン、もう片方の手はスペースキー、と、せーのでスタート。何度やってもズレるし、巻き戻しすぎたり。またシーンの後半のあたりをやるときなんかは、秒数を覚えてタイムを合わせてスタートさせたり、本当に苛々するんですが、ピタッと合うととても気持ちがいい。狙い通りにいくと本当に興奮します^^

支え 09/3/12

もう3月も半ばかぁ〜!作業終わりに書こうと思うと終バスを気にする時間になって「じゃあまた明日にでも」となり、それでまた二ヶ月も経ってしまいました。しかし自分でも「よく持ってるなあ」と思います。まだ先はあるけれど、気持ちを強く持ち続けていきたいですね。今現在の仕事についての日記はこのように非常に曖昧な表現だらけになりますが、支えてくれる人に心からありがとうと言いたいです。いや、ホントに支えがないと全然ダメですからね^^;よしまた週一定期でラストまで!

新年 09/1/16

あけましておめでとうございます。と申しましても、もう2週間も経ってしまいましたが^^; 毎年、年賀状を下さるファンの方がいらっしゃいます。本当に嬉しいですね。この場を借りてお礼申し上げます!

今年は突っ走らなければなりません。途中で転ばないようしっかりと計画を立てて…。本年もよろしくお願いします。

忘年会 08/12/18

FF13の音楽チームで忘年会!カニをいただきました。いい会でした♪来年ははじけよう!


(左から濱本、河盛、浜渦、鈴木、北川)

寒 08/11/10

10月はミニコンサート(ご来場の皆様、ありがとうございました!)やレコーディングなどであっという間に過ぎてしまいました。知らない間に気候が変わっていて、駅まで久々にバスでなく自転車かっとばしたら「さぶっ!」。急勾配の坂を下りきってしまってから後悔。時間もギリギリだったし、そのまま走りましたがやはり失敗でした。こういう時に限って電車は後れるし。帰宅が億劫です^^;

本日発売! 08/9/24

「シグマ・ハーモニクス」のサウンドトラックが本日発売となりました。フルバージョン、PV専用曲、未収録曲などおまけ要素たっぷりになっています。よろしくお願いします^^

これでとりあえずシグマの作業はおしまいです。ちょっと名残惜しいですね。サントラのジャケを見てふとマスタリングのときのことを思い出しました。「悲涙」という文字通り悲しい感じの曲がスタジオに流れていて、鈴木光人が「仕事も大詰めというときにやっていた曲」という事でその時の作業風景を思い出してジーンときた…みたいなことを言ってくれたんですが、「そんな風に聴いてくれていたのか」と私もジーンとしていた、という風景です(笑)。この曲はゲーム未収録なので、これは彼への感謝の曲と位置づけたいですね。鈴木君、お疲れさまでした!

まもなく 08/9/19

急に忙しくなってサボってました。シグマ、もう懐かしい感じですね。稼働しはじめたのは昨年の初夏あたりからだったでしょうか。11月から2月までは別プロジェクトのPV曲の制作とレコーディング、ウーロン茶物語などがあったのですが、その期間は何故か病気ばっかりしていて結構辛かった覚えがあります。2、3ヶ月くらい手足のあちこちがゲリラ的に腫れ続けたり、初めて蕁麻疹にかかったり、急性の副鼻腔炎になって鼻水が止まらなかったり、他にも食中毒、風邪などなど…。体の抵抗力が弱まっていたんでしょう。不摂生は駄目ですね。しかし何故かこの期間、仕事の調子は良かったんです。「このまま体調不良が続いたらヤバイ…!」と、慌てて集中してやっていたわけです。非常に良くない作業姿勢ですね^^;でも今年度はずっと元気で、また作業の調子もいいようです。あたりまえのことなんですが(笑)。

と、サントラがまもなく発売です♪よろしくお願いします^^

>「シグマ・ハーモニクス」サントラ発売決定! 08/8/8

情報解禁です!シグマ・ハーモニクスのサウンドトラックが発売されることになりました^^…ということで、早速マスタリングを済ませて参りました。スクエニからすぐ近く、初台の「KIMKEN STUDIO」で深夜まで作業が続きましたが、鈴木光人と一緒に「すごくバランスよくなりましたね〜」「ぶっとんだCDになったな〜」なんて一日感動(?)してました。今回のサントラはこれまでのものと比べてちょっと異質でして、プロモーションムービー専用曲、フルサイズバージョン曲、ゲーム未使用曲など、サントラだけでしか聴けないものが多数収録されているという、かなりのサービス仕様になっています♪今も聴き直していたんですが、バトル曲が12曲連続で列んでいたり、かなり攻撃的な内容になりました^^;9月24日発売です。よろしくお願いします! (サイトもまもなく開設!)

早いとこ 08/7/11

開発の山を越えるまでここの更新を週一としていたのですが、そのままのペースで続けていけそうです(こんな感じでなら^^;)。で、山を越えたので…少し休みをもらって家の掃除でもしようかと思ってるのですが、その為にも今日中に片付けておくべき作業やメールを早いとこ…(21:30pm)

昨日 08/7/4

次の仕事のためにとハードディスク上に散乱している大量のMIDIのスケッチをかき集めてたら、ファイルがひとつ見当たらない。あれは1年以上前のだったか、いや、そんなに古くないはずだと4時間格闘。MIDIは文字検索のようにはいかないので、ある程度は鳴らさないと解りません。ファイルはいつもバージョン毎にすぐに新規ファイルにして保存しているので、なくすことはまずないはずなのに…。最近、ハードディスクが満杯で要らないファイルを消したときにやってしまったか。そういうわけで、終電時間が迫ったため諦めました。4時間もあれば思い出して打ち込めばいいのに、一人ブースで「なんでやねん!」と叫び…と書いたことでよしとする^^;

ウェブドラマ配信中 08/6/27

「シグマ・ハーモニクス」の公式サイトにてオリジナルドラマが配信されています!曲もガンガン使われてます^^。こういうウェブドラマとかで自分の曲がかかるところはあまり聴いたことがなかったのですが、プログラムで鳴らないのも新鮮でいいもんですね(笑)。また、同じ曲でも色々なシーンに貼付けられていくと、その曲の新たな側面が見えてきて面白いです。

… 08/6/20

小さい五線のメモ帳です。頻繁に使う訳ではないですが、なかなか便利です。…写真があると書けると思ったけど広がらない(汗)。



Mitsuto Suzuki 08/6/13

「シグマ・ハーモニクス」で私の片腕となって大活躍してくれた鈴木光人が6月29日にライブ出演します!

i-dep presents
"festa do i-dep!!! -market- 2008"
2008.6.29(sun)@恵比寿 LIQUID LOFT(LIQUIDROOM 2F)

Mitsuto Suzuki&IN MY OWN BAND

Mitsuto Suzuki(Syn,Vo)
Katsuhiro Chiba(Electronics)
Yoske Kakegawa(Guitar)
Seiji Toda(Bass)

Live Start 20:00 〜

official
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/dl/mitsuto/

光人ファンは是が非でも♪

週一更新が…(汗) 08/6/10

一昨日、「Shake Forward ! 2008」というヒップホップのイベントに行って参りました。出演する「AINU REBELS(アイヌレブルズ)」のメンバーと友人であったことで一曲だけ提供させていただいていて、その初演だったのです(もちろん本業とは関係ありませんので余暇での無償の作品です^^;)。AINU REBELSは関東在住の若いアイヌ民族で構成されているパフォーマンス集団です。最近急に注目を浴び始めていて、この日も取材のカメラ等で舞台も楽屋もごった返していました。私も立ち上げの頃から注目していたのですが、こんな面白い活動に参加できるとは思ってもみませんでした。今回お手伝いさせていただいたのはリーダーのMINAさん作詞の新曲で、全てアイヌ語で5人の女声で一部ハモるという、ちょっと難易度の高い内容です。私も休みの日や仕事帰りに何度か練習の指導をさせていただいていましたが、本番は出来過ぎじゃないかと思えるほどの演奏で、滅茶滅茶感動してしまいました。

普段は絵に貼付けるという作業をしているので、こういうダイレクトな反応は本当に新鮮です。またゲーム開発ではなかなか得られない音楽のノウハウの蓄積にも繋がりますし、さあ明日から気合いを入れてかかるか!と心理的な効果も大で、本業にもいい影響が出るものです(笑)。

最近また、先住民族決議とか先住民族サミットとか、凄いことになってるなあとか先住民でない少数民族はどうなるんかなあとか、色々あったり考えさせられることが多くなってきました。と、考えても無い頭なのでまともな判断はできないのですが、知る行為そのものは悪く無いだろうと、毎日通勤電車の中でもくもくそういった本を読んでいます…完全にオタクですね(笑)。AINU REBELS、かなり面白い存在ですので、是非チェックしてみてください。

「シグマ・ハーモニクス」もいよいよですが、これからさらに忙しくなりそうです!

http://www.ainurebels.com/

ひっかかり 08/5/30

先週スクエニ前のバイト作品の話を書きましたが、あの後偶然2曲だけそのStandardMIDIFileを発見しました。確か4曲をPC98のシーケンスソフト「セシリア」で作って、さらに4曲追加発注があって借りていた鍵盤のシーケンサーで…と、色々思い出してきました。見つけたのは後者4曲のうち2曲なのですが、聴いてみるとデキはともかく終止”うねり”まくっていて結構耳に残るというか、「ひっかかる」事をやっていたなぁと。仕事として成立させようと意識しすぎると、どうしても常識やセオリーといったものを外してはいけないと思うようになります。そうなると合格点にはなっていきますが、「ひっかかり」が無くなりやすい。であれば、「ひっかかり」を最初からしっかり成立させてから、そこから合格ラインに照準を移動させて行く感覚で作ると残りやすいのではないかなと。そうやって作る曲はどれも制作中期段階のシーケンスデータがかなり暴力的なので、「このまま出来上がるのか」と不安にもなりますが、出来た時はより手応えがあるものになってますね。なんだか物凄く抽象的な話ですが(笑)。

スクエニ以前 08/5/23

スクエニに入る前にも曲を書く仕事をしたことがあります。といっても、ほんの一瞬のバイトでした。最初の作品はMacintosh用の画像作成ソフトの使い方ツールCD-ROMのBGM。その次が今はもう無い某ゲーム会社の外注を4曲。イメージだけ伝えられ、何のゲームに使われたかも不明でした(笑)。…と、そのくらいで、あとは全部スクエニですね。

趣味では、高校だったか浪人だったかの頃にゲーム関連の音楽コンテストに出して、優秀賞(最優秀ではない)を貰った事があります。それも数を出してやっと一曲ひっかかったというもので、「曲を展開させていく」ということが出来なくて、まあひどい出来でした。今となっては絶対聴けないですね。

あとは…ひたすらこもって打込みばっかり。人前では浪人のときに自作のピアノ曲を極めて小さなコンサートで弾いたのと、大学時代にやっていたフュージョンバンドでキーボードを担当したくらいでしょうか。当時は半即興みたいな感じで弾いてましたが無茶やったものです。

今でも余暇を利用して趣味で曲を書くことは、極稀ですがあります。娘の通う幼稚園のママさんたちがお別れ会等で演奏する曲のアレンジ譜を書いたり、知り合いがライブでやる曲を作ったり。あ、もちろん全て無償です。近々その知り合いがライブをやるので、楽しみにしてるのですが。

シグマ、とりあえず最後の一曲、終わりました!

整然 08/5/16

もう金曜?と、あたふたと書いています。金曜が更新日というわけではないのですが。今朝も一曲、バランス調整が終了…残りは軽いリアレンジ一曲のみ。と、今回は知る人ぞ知るテクノマスター、鈴木光人とコンビを組んでいます。打ち込んだ曲想をほとんど壊す事なく、そこからさらに改良してくれるのですが、これがまたシグマの世界観にガッチリ!

→浜渦ブースと違ってゴミひとつ落ちていない整然とした鈴木ブースと鈴木光人

配信中♪ 08/5/9

「シグマ・ハーモニクス」の公式サイトで流れているBGM「時の残滓」の着メロが、ケータイサイト「スクウェア・エニックスメロディ」から配信されています。最近の着メロの精度は高くなってますね。少ない容量で本当によく再現されていると思います。是非ダウンロードしてみて下さい♪

【iモード】
iMenu→メニューリスト→着信メロディ/カラオケ→ゲーム→スクエニメロディi

【EZWeb】
au one→カテゴリ検索→着信メロディ・カラオケボイス→アニメ・ゲーム→スクエニメロディEZ

【SoftBank】
メニューリスト→着うた・着信メロディ→ゲーム・パチンコ→スクエニメロディS

サイトオープン 08/5/2

「シグマ・ハーモニクス」のサイトが本日オープンしました。曲が流れるのも初めてですね。作業も残りあとわずか、もう一踏ん張りです!

と、今日はもう一つ仕事のニュースです。サントリーのウェブサイトのフラッシュゲーム「ウーロン茶物語」のBGMを担当させていただきました。2月にレコーディングした…と書いたときのものですね。短いのが8曲ほどですが、是非遊んでみて下さい^^

http://www.suntory.co.jp/softdrink/oolongtea/main.html

G2 08/4/25

最寄りの駅まで歩いて25分くらい、そこから会社まではさらに一時間近く…というところに住んでいます。音楽を作る仕事は特殊かもしれませんが、それ以外は生活も懐もいかにも平均的な30代のサラリーマン、音が出せる家を探すとなると…いや、この距離は十分でしょう。音が出せるということは有難いことです。家は小高い山の上に建っていて、敷地の半分は斜面になっています。その斜面に半分ほど埋まり込んでいる、いわゆる半地下の部屋があるのですが、そこに一台ピアノが置いてあります。妻が実家から持って来た小型のグランドで、昔のヤマハのG2です。その部屋の向かいは小さな谷になっていて、その先はまた山です。窓から見えるのは一本の小道と樹木だけ。音を出しても山は文句を言ってきません。あ、蜘蛛とか百足はしょっちゅうやってきますが(汗)。自分が使う楽器はこのピアノくらいで、打込み環境も皆無なのですが、最近子供らが鍵盤を触るようになってきたので、有り難みがだんだんと増してきました。と、これからの季節が大変です。土に埋まっている部屋は湿気が半端でなく、除湿器をフル回転させなくてはいけません。油断するとびっくりするくらいピアノの調律が狂います…!

さて、「シグマ・ハーモニクス」が発表されましたが、昨日はその楽曲のレコーディングでした。バイオリン一本だけですが、ホントに締まります。あともう一息!

無駄話 08/4/17

ちょっとバタバタするとここを書くのをサボってしまい、また考えると更新できないので、ヤマを越えるまで無駄話でも週一で書く。と、決めてやってみます。

私の姓の「浜」の字ですが、ある時までずっと「濱」と書いていました。入社する頃だったか、謄本か何かを確認していたときに、実はこれは間違いで、ウ冠の下が眉に足二本のが本当だということに気付きました。何でそんなことになったのか、大した理由はなかったようなのですが、慣れていた事や正しい方が普通には変換できないこともあって、しばらく放置していました。で、サントラで名前を乗せるときになってハッキリ決めておこうということで「簡単な浜で」ということになったのですが、それ以後も社内用のシャチハタ等は「濱」のままで、稀にそっちの方で公式に名前が出てしまう事もありました。日本には浜渦姓は1500人くらいいるらしいですね。色んな職業の方がいるようで…。

来週またRecがあります。譜面書き、頑張らなくては。

配信! 08/2/26

今年一発目は告知です。もうまもなく、2月27日に「チョコボの不思議なダンジョン O.S.T」がiTunesStoreにて配信されることになりました。…と、もう2月も終わりですね。今年の抱負を語るには遅すぎますが、作業は結構調子よく進んでいます。最近またバイオリンのレコーディングを行ったのですが、打込みから差し替えて劇的に変わる楽器はやはりバイオリンですね。いやあ、素晴らしい演奏でした。

スケジュール帳 07/12/17

ちょっと忙しくなってきました。色々平行してやらなければならなくて、あれこれ忘れないようにと、社会人になってから一度も持たなかったスケジュール帳を買ってみました。なかなか便利なんですが、だからといって仕事が早くなるわけではないようで…。先日は久々のレコーディングでした。いつ頃までにデモのOKをもらうか、どんな楽器が必要か、予算はどうか、譜面を書くのにどのくらいの時間がかかりそうか、前倒しで録ってしまうともう尺は変えられないし、普段打込みばかりやってるので、こういう管理には慣れていないのですが、今回は思いのほか滞り無く進みました。スケジュール帳、ちょっと効果があったようです。それならば、随想録のアップ日とかもスケジュールに組み込めばいいんじゃないか?と。

同期生 07/10/18

先月、大学時代の声楽科の同期生の飲み会がありました。卒業以来、歌の世界からずっと離れていたので、ほとんどの人と十年以上会ってなかったことになりますが、会ってみると皆、大学時代とノリも雰囲気もまったく変わってないので驚きました。考えてみると、皆音楽の道をずっと進み続けているわけで、大学を出ると社会人───というような変化があまりないのかなと。かく言う自分が「はま、一番変わってないよね、見た目も服のセンスも!」と言われましたが(笑)。

自分の学年は優秀なのが多いと聞くのですが、日本最高のコンクールの大賞を取ったり、海外で活躍している人も多数、紅白に出た人なんかもいるんですね。自分は在学中からサボってはMIDIの打ち込みばかりやってましたから、このあたりは大変客観的に感じます(笑)。寮で寝食を共にした田部井氏(後述)にすらいつも「一体いつ歌詞覚えてんだ?」と^^;。

この日の参加者の中には、過去にスクエニの仕事のお手伝いをしていただいた人もいます。今日はそのあたりのお話をしたいと思います。

入社間もない頃は自分が声楽出身ということで、FF7などのコーラスの手配をやったことがありました。ある時、植松さんに「参考になる歌詞か何かないかな?」だったか、どういう注文だったか忘れてしまったのですが、何の参考にするのかよく知らないまま「これなんかどうですか。学生の時にやったんですが」と手元にあったカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」 のCDを渡したことがありました。それがあの歌(!)に繋がっていったのですが、あのとき別のCDを渡していたら…どんなものになっていたでしょうか。

FF7、FF8ともにコーラスは当時の社内のスタジオで録音されたのですが、録音ブースが狭いこともあり各パート2人ずつで、数回ダビングして分厚くしていく方法をとっていました。そのメンバーの手配を自分が担当したのですが、「アンリミテッド・サガ」や「Feel」などでもギタリストとして参加した田部井とおる、サガフロンティア2でピアノも弾いた原大介、パラサイトイヴでスタジオ用のテストソングを歌った福島真津恵(旧姓、妻です)などなど大学時代の声楽科仲間を中心にお願いしました(自分もバスパートで参加しています)。FF7のムービーでうっすら流れるハイドンのオラトリオ「天地創造」でも原氏が歌っているのですが、これのオケの打込み、マニピュレートも自分が担当していました。

FF10では後にイタリア声楽コンコルソでシエナ大賞に輝き、以後のFFのコンサート等でもコーラスリーダーを努めた馬場崇、また直接の知り合いではなかったのですが「天翔ける翼」や10のヴァルファーレのソロを歌った柏原美緒さんも参加されています。FF11では「ダビングとは言え、8人では広がりに限界が…」ということで、各パート4名ずつでのRecとなりました。自分はと言うとその頃までコーラスにはディレクション等で関わらせていただきましたが、歌うのはFF7だけでそれ以降は辞退しました。周りからは「歌えばいいのに」と言われてはいたのですが、なんとなく訣別したという意識があったのか…よく解らないのですが(笑)。


写真左から
田部井とおる、海野智美、妻、馬場崇。みんな同期です。

馬場氏と「今度コーラスやるときは同期のメンバー中心でやりたいね」なんて話してました。

ちなみに海野さんが抱っこしてるのがウチの長女ですが、実はこれもまたFFに歌で参加した過去があり、FFACの「Sign」でうっすら歌っています(コーラスネタをかぶせて補強していただいてますが^^)。当時3歳で、福井さんが我が家まで来られてDATで録音したのですが、福井さんとウチの家は近くて、子供同士で遊ばせたりなんかも。

9月は他に、FFXのピアノコレクションで演奏していただいたピアニストの黒田亜樹さんや、お茶の水女子大学附属高等学校で教鞭をとっている先述の原大介氏にも会う機会がありました。皆さんますますご活躍されているようで、自分も負けないように、そしてまた何かお願いできればと思いました。

Die Wahrheit 07/9/7

随想は半年Vielen Dank一辺倒ですが、仕事の曲も書いていない訳ではありません。何年もシステムを打込みオケ用に改良して来たため、シンセ音源が全然ない状態が続いていました。が、春から数年ぶりにシンセの基本音源のセットを導入、曲作りが劇的に…旧くなりました!いや、良い意味でです。「JV」でやってた時代のようにとりあえず何でも自分のブースで鳴るので、一旦自己完結させてからマニピュレーターに渡す…その濃度(?)が高くなり、自分の色が善くも悪くも強くなる、ということですね。

さて「Vielen Dank」の解説もこれで一応最後になりそうです。思いつくことがあればまた書くかもしれませんが、「Die Wahrheit」について。突然ですが、皆さんはウィルタ民族をご存じでしょうか。日本には様々な民族が住んでいますが、その中でもかなりの少数の民族です。ウィルタは元々はサハリン(樺太)の少数民族のひとつなのでですが、戦前は南樺太は日本の領土であったことで…と、ここから先は長く深い話になっちゃうのでやめておきます^^;ただここ二年ほどでウィルタを知ることがライフワークみたいになってきていて、のめり込むほど「知られなさすぎてる気がしないでもない」と思うわけですね。もちろんこういう民族の問題には様々な意見があって、なにかと賛否が気になって悶々とするものです。しかし特にウィルタはそれ以前の問題の先送りすらできない状況になっているところがあるようで、その見解についての是非も自分で答えを出せないまま…。と、この「葛藤」を表したのが「Die Wahrheit」です。そしてちょっとでも知ってもらうきっかけになればな、と。でも教科書にない歴史なので、調べるとびっくりするようなことも多くて、なかなかドラマチックで興味深いものです。「某大学に貴重な資料発見!」と思ったら母校の資料室だったり、結構いろんなことがありましたが。ただ、Webをも隈無く周りましたがちょっと弱いんですね。そうなるとほとんど文献で調べるしかなく、またその大半が古書で入手困難…(汗)。埒があかん!と、プライベートでそういうページでも作ろうかとさえ思ったり…。

今月は色々人と会う予定があります。過去のFFがらみばかりなのですが、コーラスで歌った人とかピアニストとか…。当時の裏舞台の事など話してきますので、次回はレポートなど。

解説(後編) 07/8/9

「Feldschlacht V」
原曲の「Feldshlacht」はゲーム中に既に様々なアレンジをしていました。この曲はその8年ぶりのアレンジになるわけですが、基本の展開が「Feldshlacht I〜IV」に相当するということ、「Feldschlacht」の総括的な意味、混乱しやすいドイツ語タイトル曲の中で個人的に覚えやすかったなどの理由で、先にタイトルを決めていました。いや、単純に「V!」と言ってみたかっただけかな(笑)。そしてアレンジするにあたって少し迷ったのが「バトルっぽくするのか」という問題でした。一聴するとテンポ感のあるバトルではあるものの、この原曲の持ち味は旋律を飛躍させずにうねりのあるコードで内面から押し出すような…というところだと自分は考えていました。旋律を譜面に書き起こすとお分かりいただけると思いますが、第一の旋律と第二の旋律のいずれも、一番高い音が主音から五度上までしかありません。この曲を解りやすいイ短調として考えると(色々な調のアレンジがあるので)、「ラーソラシドーレミー…」「ミーレドシードーレーソーラーソファミー…」と、主音の「ラ」からわずか五つ上の「ミ」より上へ全く行かない構造になっています。それだけ飛躍感を抑えた旋律なんですが、今思うと自分にとって初めてのエンカウントバトル曲なのによくそんなヤバイことを考えてたよなぁと(汗)。原曲のそういう特性と弦楽カルテット&ピアノが合うアレンジ…と考えると、白玉で全面にべったりとやった方が、特に半音で流れる展開など本来の意図が前に出るんじゃないか、またアルバムをまったりしたものにする意図もあり、このようなアレンジになったというわけです。

余談ですが、かつて「Feldshlacht IV」のリテイク版(内蔵音源でないもの)を「SF2」におまけ的に入れようという構想がありました。あまりにアルバムの雰囲気とかけ離れているということで断念したものですが、次回チャンスがあればオール生の編成でやってみたいですね。

「Jenseits der Finsternis」
この原曲「深淵の果てに」は自分のFFX作品の中で最も完成度が高いと感じていたもので、途中の妙にメジャーになったりする等の気怠さがとても気に入ってます。原曲ではスネアが重要な位置にいるのですが、それを除いたアレンジの構想がなかなかまとまらず苦労しました。

「Vergessene Tränen」
原曲が打込みピアノだったので、生が聴きたくてアレンジしました。実はなかなか劇的なレコーディング現場でして、ピアニストの遠藤さんに原曲のゲームのシーンの説明をしてから弾いてもらったんですが、「シーンを想像しながら弾いてたら泣きそうになった^^;」と仰ってました。

「Splitter von Traurigkeit」
ボツにしかけた曲ですが、曲順を考えてると「Vergessene Tränen」のエンディングと調が同じなので、そのまま一曲として「FFDC」の世界観が作れるかなと、ギリギリのところで採用しました。最終的にはアルバムの流れとして終盤の疲労感に追い打ちをかける感じでよかったと思います(笑)。

「Aufsteigende Flügel」
実はこれもボツにしかかっていたんですが、娘の希望でちょっと作ってたら意外に巧くいったので採用しました。

さて、最後に昨年末から1月にかけて何十回と更新していた曲リストから、収録に漏れた曲を紹介します。あまり意味はないですが…。

・・・途中まで作ってやめた、あるいはほぼ完成していた曲・・・
SaGa Frontier 2=Praludium(五重奏)
SaGa Frontier 2=Nationaltanz(五重奏)
SaGa Frontier 2=Nachtigall(六重奏)
SaGa Frontier 2=Zauberkraft(Pf)
SaGa Frontier 2=Zaubermärchen(Pf)
SaGa Frontier 2=Elfenköniginリアレンジ(Pf)
FINAL FANTASY X=襲撃リアレンジ(Pf)
UNLIMITED SaGa=ルビィのテーマ(Pf)
UNLIMITED SaGa=キャッシュのテーマ(五重奏)
UNLIMITED SaGa=閑話休題(五重奏)
武蔵伝2=Aqua Memory(Pf+Fl+弦2本?)
武蔵伝2=Mystical Princess(Pf)
FF7DC=Ninja Girl of Wutai(Pf)
FF7DC=LucreciaCrescent(五重奏)
FF7DC=Lucrecia Crescent(Pf)
FF7DC=Hope of the Future(Pf)
?=?(Pf)

・・・その他実験した候補曲・・・
チョコボの不思議なダンジョン=君をさがして(Pf)
チョコボの不思議なダンジョン=未知の空間(Pf)
チョコボの不思議なダンジョン=神の使い(Pf)
チョコボの不思議なダンジョン=休まない翼(Pf)
チョコボの不思議なダンジョン=水のささやき(Pf)
SaGa Frontier 2=Schlachtenlenker(Pf)
SaGa Frontier 2=Zauberkraft(五重奏)
SaGa Frontier 2=Roman(五重奏)
SaGa Frontier 2=Nationaltanz(Pf)
SaGa Frontier 2=Majestat(Pf)
SaGa Frontier 2=Trubsal(四重奏)
SaGa Frontier 2=Heimatlose(Pf+Fl)
SaGa Frontier 2=Auβenwelt(Pf)
SaGa Frontier 2=Auβenwelt(五重奏)
SaGa Frontier 2=Tiefe(Pf)
UNLIMITED SaGa=ジュディのテーマ(Pf)
UNLIMITED SaGa=ルビィのテーマ(六重奏)
UNLIMITED SaGa=J&A(Pf)
UNLIMITED SaGa=DG "sadness"(Pf)
UNLIMITED SaGa=閑話休題(Pf)
武蔵伝2=Symphony of Fire 1(六重奏)
武蔵伝2=Symphony of Fire 2(六重奏)
武蔵伝2=Finale(Pf)
FF7DC=Mysterious Ninja(Pf)
FF7DC=A Proposal(Pf)
FF7DC=Return to the Origin(Pf)
FF7DC=Memories with Lucrecia(Pf)

解説(前編) 07/7/13

今日は「Vielen Dank」について、過去のメモなどを掘り起こし、資料集的というか、雑多なものを用意しました。だらだらやってると「Vielen Dank」だけで一年とかかかりそうなので、なんとか一気に書きました。ちょっと長いので二回に分けて更新します。

Vielen Dank アレンジ曲解説………………………………………………………………

「Feuersinfonie I」
武蔵伝2の開発が終わったあと、たまにハ調でなんとなしに手探りでピアノで弾いていました。いつかピアノアレンジできればと思っていたので「Vielen Dank」では迷わず採用したのですが、いざとりかかると意外にまとめにくく、苦労しました。

「Stummer Dialog」
この曲は「神獣の村」のアレンジ曲である「Silent Dialogue」をさらにアレンジしたものですが、「神獣の村」は元々ピアノの原曲がありました。ややこしいですが、ピアノの原曲→「神獣の村」→「Silent Dialogue」と来て、今回またピアノに戻ったということです。この原曲がサントラの2曲と全く雰囲気が違うので、捨て置けないような気がして「Vielen Dank」に加えたんですが、全部一から書き直し、また雰囲気も変わったので、やはり全く新しいアレンジという位置です。ちょっと混乱…(笑)。

「Aquas Erinnerung」
原曲が既にピアノ中心の曲なので、アレンジしてもほぼ同じ…?、ということで採用するかどうかは最後まで悩みました。ただ、その原曲は打込みピアノだったので、生の譜面として残しておきたいなぁ…と思い決めました。

「Ewiges Leid」
「Aufsteigende Flügel」と同じく、アレンジの際「淡々としてしまうのではないか」という恐れがあったのですが、逆にピアニストが歌える余地があるということで濃い演奏になり、そのため聴いてる人もどこがポイントか分かりやすいようで、想像以上にまとまった結果となりました。ゲームファンでもある現地のコーディネーターに大変評判がよかったです。

「Feuersinfonie II」
これはアレンジするか大変悩んだのですが、途中までやってまた構成に悩み、しかし捨てるに惜しいし…と、気づいたら完成してました。「Feuersinfonie I」と共に、ピアニストには最も気楽に演奏してもらった曲です。

「Zufall」
「SF2」では原曲に近づけるため(複数人の手が必要な無制限的なピアノ音源の活用)、連弾にアレンジしていましたが、後になって「こういうのは一人で弾けるとカッコイイ」と強く感じてたのと、サガフロ2の中で最も気に入っている曲の一つだったということで、リアレンジすることにしました。ゲーム的に考えると一定の曲の長さや飽きさせないような展開が必要になってきますが、今回はそういう制約がないことで、一気に畳み掛けるほうがこれまたカッコイイだろうと考え、一部途中の展開を省きました。様々な点で練り直しができたので、いい感じに仕上がったと思います。

「Botschaft」
「Rosenkranz」のアレンジが「Botschaft」と「β1」であり、「Botschaft」のアレンジがこれです。ややこしいですが、前回のバージョン「β1」が割と機械的であったことや、「Botschaft」版の展開部後半を再現したかったということで再度とりあげました。ただ、サガフロ2は他にもアレンジしたかった曲が十数曲あり、私の中で熾烈な生存競争をしていたのですが、当時幼稚園生だった長女が、「ら〜そふぁみ〜れ〜ら〜れ〜れ〜…」と歌っていたので、「好きなんか?」と訊くと「うん」と。そのまま完成に至ったというわけです(笑)。

「Interludium」
サガフロ2のサントラで1番気に入ってるのがこの原曲です。原曲はディレイがかかっていて、それで空間が成り立っているところもあり、ある意味この曲はシンセの曲だと考えています。それでも伴奏の展開はやはりピアノで機械的に動くところに面白さを感じていたので、是非やっておきたいなと。フルートが途中から出てきますが、活躍するのは展開部のみです。当初はそれだけだとFl+Pfのバランスとしては悪いかと思い、ピアノの旋律をなぞらせたり試していたんですが、原曲の構成を壊しても何もいいことなかったので、フルートはもったいぶる事にしました。また原曲を尊重すると生のフルートは若干音域が高いのでピッコロで淡々と、大人しめに録るのもアリか?…という考えもありました。収録当日、フルーティストのAndrea Ikkerさんもそのように仰ってたので試しに吹いてもらったのですが、やはり音域的にまとまりすぎて躍動感が出しにくいんですね。ということで、フルートでお願いしましたが、Ikkerさんの演奏技術が高音を狙う緊張感に打ち勝って、非常にいい収録ができました。時々、原曲(サントラ版)が出来た時のことを思い出すのですが、どんな感じで作っていたかもよく覚えてます。次の展開が全て浮かび、それを大急ぎでMIDIに記録し続けるだけ…という感じです。こういう試行錯誤みたいなのがほとんどなかったような曲は数えるほどしかありません。サガフロ2ではこの曲だけ、武蔵伝2で二発出ていて、それもあって武蔵伝2は個人的にいい出来だったと感じているわけです(笑)。

………………………………………………………………………………………………

次回は「Feldschlacht V」から「Aufsteigende Flügel」です。

それと先日、知り合いのWebラジオにゲスト出演しました。「Vielen Dank」とそのアレンジ元となった曲を中心に紹介させていただいてます。例によってまた何を喋ったか、ほとんど覚えてないんですが…(汗)。

配信中… 07/7/6

先日、「Vielen Dank」の関係者による飲み会がありました。帰国後、一度も集まって飲む機会がなかったので、ミュンヘンの雰囲気をもう一度…ということで西新宿のドイツ料理店へ。と、そこでちょっとビックリすることが。途中、手洗いに立ったときに、天井のスピーカーから小さい音でピアノ曲が流れていることに気づいたのですが、「なんか自分と似たようなピアノやる人いるんだなぁ」と(註)、手を洗っていましたら、次の曲が流れ出し、よくよく聞くと「雷平原(ピアノコレクション版)」なのです。酔ってるのかと思い、しばらくその場で聴いていたのですが、やはりそれに間違いありませんでした。「シカケるようなものでもあるまいし…?」と、店内を見回しましたが変わった様子もなし。首を傾げながら席に戻りますと、皆も「え、ホント?」。丁度店員さんが注文を受けに来ていたので、プロデューサーの松下さんが「いまかかっているのは有線ですか?」と訊くと、「いえ、私のCDです。私、店長なんですが、FFが好きでして…」FF7から10のピアノコレクションを繰り返し流しているとのことでした。

浜「自分が用足しに行った丁度で自分の曲て…」

松「こんなことあるんだねぇ」

と、皆感心していたのですが…。


この日はミュンヘンレコーディングに途中から見学に来ていた、新進気鋭のトローンボーン奏者の新井達也氏も来ていました。皆で金管の世界の狭き門のことや、若い彼の前途について色々話しておりましたら、隣の席の紳士二人が突然「トロンボーンが一人足りないんですが」と声をかけてきたのです。皆、一瞬目がテンになったのですが、聞くとお二人は、某国際級コンサートホールの企画担当の方と、有名な音楽情報雑誌の編集部長の方でした。ボーン人生のこれからを語っていたところに即仕事、しかも「なぜピンポイントでボーン?」と、「なんのボケか」と突っ込みそうになるくらいの”突然の偶然”に、こちらも向こうも呆れるくらいでした(笑)。さらには遠藤さん(「Vielen Dank」ピアニスト)が、来年そのホールで伴奏者として出演する演奏会があることを伝えると、それがその企画担当の方の担当であることも解り、飲み会が一転、名刺交換会に…。

浜「雷平原でオチたと思ったんですけどねぇ…」

松「持っていかれたねぇ」

註:「自分と似たような…」と思った曲は曲順的に「グアドサラム」だったようです。仲野さん原曲!

さて、「Vielen Dank」発売から一ヶ月経ちましたが、過去のピアノ曲も楽しんでいただこうということで、「サガフロンティア2」のピアノ小品集「Piano Pieces "SF2"」がiTunesで配信中です。また「Rhapsody on a Theme of SAGA FRONTIER 2」 からもピアノソロの第3楽章も入っております。随想録の更新をサボっている間に、もう発表日を過ぎてしまいました。ということで、「Vielen Dank」のアレンジ曲については次回に…(汗)。

発売 07/06/04

「Vielen Dank」が発売されました。即日売り切れの販売サイトもあり、在庫が僅少になっているようで驚いています。ご購入いただき、本当にありがとうございます。追加プレスがされるようですので、手に入らなかった方は今しばらくお待ちください。既にラジオも配信されておりますが、考えてる事を口に出して言うのがヘタなもので…恥ずかしくてほとんど聴いておりません(汗)。

握手会の翌日、どんな方がいてどんなメッセージをいただいたか、ぼんやりと思い出しながらメモなど取ってみたのですが、結構覚えていました。いつも物忘れが酷いのによっぽど嬉しかったんでしょう。再販や新規アレンジ、譜面化などの要望や、曲を作る心構えや普段どんな音楽を聴いているのかなど質問もたくさん頂きましたが、今日はすぐに答えられるものを少しお話しようと思います。

まず多かったのが曲作りのヒントになるものは何か?ですね。絵画を見て?…とかいう格好よさげなシチュエーションはあまりありません(笑)。敢えていうなら特になし、でしょうか。大抵のBGMは仕事場のブース内で、ゲームの資料以外特に何の参考材料もない状態で作りますが、そういうのはほとんど善くも悪くもBGM然としたものになります。たまにですが、夜寝る前とか、歩いていて突然思いつく場合もあります。そういうときは携帯メールにメモしたりしますが、10中8、9は役に立ちません。やはり近くに鍵盤が無いと雰囲気を忘れてしまってダメみたいです。ダージュオブケルベロスの「A Proposal」なんかは出勤途中、会社まであと20メートルというところで思いつきました。絵的な影響がないと割と自分らしいと思えるものになる訳ですが、そういうのに限って絵に合わなかったりするんですね。この曲もあわやボツにしてしまうところでした(笑)。「Vielen Dank」の発売日の30日にも久々に「思いつき」の瞬間があり、調剤薬局で薬を待っていて(大丈夫です(汗))、置いてあったテレビを何気なく見ていて思いつきました。戻ってすぐ一時間くらいで輪郭が出来て「使えそう〜」とニヤニヤしてましたね。

好きな作曲家は?という質問も頂きました。坂田晃一、宮川泰、すぎやまこういち、クラシックではストレートにバッハやモーツアルトなんかが好きです。好きな作曲家は他にもたくさんいるのですが、「自分がなかなか真似できそうにない」という人が多いです。なんとか少しでも秘密を探りたくて模倣しようとするんですが、それ自体が自分に正直な態度であるので、自分らしさの追求にもなるのかなと思っています。逆に特に好きでもない作曲家の曲にとても影響を受けていたりすることもあります。どうすれば曲が作れるようになるかとも訊かれたたのですが、(自信を持って言えた立場でもないんですが)好きな音楽について「真似できない」とか、こんな音楽は自分には出来ないと諦めないことだと思っています。その一部でも達成できればそれを少しずつ積み重ね、個性にすればいいのかなと。

また後日、難易度をどう設定しているのかという質問も人づてで聞きました。今回の曲に限らず、ピアノ曲の難易度は抑えめになっていると思います。一枚のCDに収める為に、まずピアニストの練習時間を考慮しなければならないこと、大抵ピアノアレンジはゲーム本体の仕事の合間で作業にあまり長い時間がかけられないこと。言い訳のオンパレードですが、何より作曲者本人が弾ける難易度になってしまうこと、ですね(笑)。あと、出版する場合は譜面作りがまた物凄い大変です。レコーディングだけなら、その場で演奏家が解る譜面にするだけでいいのですが、製本するとなるとそれこそもう何十回と修正を入れなければなりません。音の数だけ修正すればいいというものではなく、旗の向きや諸記号の微妙な位置のズレだけでも無数にあります。また曲を耳で覚えてしまっているので、先入観で譜面を見てしまい、音そのものの間違いにもなかなか気づかないんですね。FFXのピアノコレクションはピアノの製本の専門の人に間に入ってもらったので、微妙なところまで全部やることもなく随分助かったのですが、光田康典氏の「Sailing to the World」のピアノ譜を作ったときは、二人掛かりで何度チェックしてもミスが出て来て大変でした。「これ最終版です!」と何度言い直した事か(笑)。

握手会でプレゼントさせていただいたサイン入りの楽譜は全部で4種類、「Vilen Dank」の中から一枚に収まる短い曲を選びました。051209とあるのはレコーディングで使った唯一の手書き譜面で、アルバム最初の曲です。手書きの譜面は元々たくさんあったのですが、ピアニストが使ったそれはこの曲だけです。過去作のピアノアレンジや譜面化の要望もかなり頂いたのですが、よくよく考えると「Vielen Dank」も音源を出しておいて譜面を出さないのは確かに不自然ではありますね。今のところ、話には上がってないですが…。

次回からはアルバムのライナーに書ききれなかった、アレンジ作品の解説をしていきたいと思います。

握手会 07/5/15

13日に行われましたスクウェアエニックスパーティ2007での握手会は、お陰様で想像をはるかに越える盛況で無事終えることが出来ました。整理券の為に、持っているCDをわざわざ買い直してくださった方、朝一でミュージックCDショップに走り込んで来て下さった方もおられました。たくさんの方にお越しいただき、本当に感激しました。心から感謝申し上げます。

また短い時間でしたが、お一人お一人とお話しすることができて、本当に嬉しかったです。応援メッセージだけでなく、質問や要望もいただき、今後の制作活動に於いて、大変参考になりました。お手紙も何通かいただきましたが、自分が考えていながら語彙不足でこれまでうまく言葉にできなかった「ゲーム音楽に対する自分のスタンス」を見事に代弁してくれているものが多く、これもまた非常に励みになりました。常日頃、最大のテーマであり難問としている…はい、「臆さず破壊活動に勤しむ」…を、改めてやっていきたいと思います(笑)。こういう機会がなかなかないので、またゆっくり皆さんのご意見を聞ければなぁと思いました。

と、堅苦しい上まとまらないのですが(汗)、まず一言!と思いましたので、急いで随想録を書きました。皆さんとのお話の時間が短くてきちんと回答できなかったこともありますので、そのときの掘り下げたお話を次回…早いうちに書きたいと思います。本当にありがとうございました!


→当日携帯で撮った唯一の写真…。
ミュージックCDショップ裏のスタッフルームから。

※「Vielen Dank」特設ページにイベントレポートを掲載しました。
ソロアルバム その3 07/5/2

本日はスクウェアエニックスパーティ2007の告知です。スクウェア・エニックス MUSIC CD SHOPブースにて握手会が行われることになりました。13日に私、浜渦正志がソロアルバム「Vielen Dank」(5月30日発売)の告知を兼ねて参ります。握手会では数量限定で私の直筆サイン入りの譜面(Vielen Dankより)を、クリアファイルと一緒に差し上げます(会場内で告知の対象商品をお買い求めのお客様限定)。また会場内で商品をお買い求めのお客様には、もれなく「SQUARE ENIX MUSIC オリジナル・サンプラーCD」をプレゼント。実はその中に「Vielen Dank」からも一曲入ります。

■□握手会イベント概要□■
場所:スクウェア・エニックス MUSIC CD SHOPブース
日時:5月13日(日) 15時〜

というわけで、CDタイトルは「Vielen Dank」と決まりました。と、前回の随想録ですが、何を数え間違えたのか、前回表記しましたアルバムの曲数は24ではなく26でした。訂正しお詫び申し上げます。またもうひとつ。レコーディングスタジオ一階のレストランの話ですが、スタジオ関係者ではなく、ホテルからスタジオまでの移動のタクシーの運転手が同じ人だったことがあって、それで「またこの観光客は同じところに…よほど気に入ったんだな」ということでした。どうでもいい話ですが(汗)。

そんなこんなでドタバタしてきたのですが、13日、よろしくお願いします。さてオリジナル・サンプラーCDの中に入る「Vielen Dank」の曲ですが、「Saga Frontier 2」からの一曲になります。ゆっくりとしたうねりのあるピアノ五重奏(Pf+弦楽四重奏)で、この曲だけは収録前にタイトルを決めていました。「Feldschracht V」!

作曲するために学問は必要か? 最終回 / ソロアルバム その2 07/4/13

もしかしたら音楽の正体は、マトリックスのような世界かもしれない。これまで知識を得る努力を怠ってきたので、「人間の感情が数列なんかで…」という考えの側にいたつもりだったのだが、無学故に稀に数列を感じることすればそれは全て実作業に於いてであったため、目の前の事実に対しては疑うことができないという、ややもすると知識人より数学的信仰に帰依してしまったかのような状況になっていった(笑)。その音楽が人間の耳に入ると何故楽しく聴こえるのか、けだるく感じるのか、不安に感じるのか、機械的に感じるのか、不思議に思って鍵盤の配置や簡単な周波数の関係を調べてみると、合点が行くことばかりだ。(これについて少しでも正確さを高めるために細かいことを書くべきだが、そうすると大変長くなるのでいずれ別項で…^^;)またさらに耳を持つ側、受けて側の人間も原子の集合体であると考えると、ますます納得がいってしまうのだ。もちろんこれらは新発見ではなく、そんなのただのピタゴラスの…で終わる話である。本を開けば一発で解る話を、わざわざ周波数を調べて「そうだったのか!」と喜んでいたわけで(「ナンボほど勉強が嫌いやねん?」ということは置いておいて(汗))、そう考えるとやはり学問は必要というより、あれば「楽」なのかと思う。

しかし、数列信仰に傾いていったからといって、音楽が冷たい世界のようには映らなかったし、むしろますます神秘的にさえ感じるようになっていった。たとえ、我々が愛してきた音楽がバラバラに解剖され、全てが数列として並べられて見せつけられてしまうような未来が来たとしても、いざ音楽が流れ出せば、人はそれまでと変わらず感動しているだろうし、評論家はやはり抽象的な言葉で評論しつづけていると思う。作曲家もいつもと同じ陶酔した表情で作業をしているに違いない。たとえそれが非人間的で無機質な意図を与えた音楽であっても、肝心のその作曲家は「したり顔」でいるはずだ。

むしろ原子や数列といったものが、その組み合わせ次第で、これだけ人の心を動かせることを神秘的に思うし、さらに結局はそんな見事な配列を自然体で生み出せる人間は凄い存在に思える。そう思えばより安堵を覚え、その無限大にも感じる可能性にもたれることができる。数字的なものに確信を持てば持つほど、「音楽は数字や学問では計れない!」と叫んでいる人よりも、こちらのほうが根性やフィーリングなんてものを信頼して使っていると思うのだ(笑)。

そんなことを考えていたのは「FFX」の頃だったか。それからしばらくしたある日、寺田寅彦が好きで読んでいて、この一文を見つけたときは我が意を得たりの気持ちになった。

「自然の森羅万象がただ四個の座標の幾何学にせんじつめられるということはあまりに堪え難いさびしさであると嘆じる詩人があるかもしれない。しかしこれは明らかに誤解である。相対性理論がどこまで徹底しても、やっぱり花は笑い、鳥は歌うことをやめない。もしこの人と同じように考えるならば、ただ一人の全能の神が宇宙を支配しているという考えもいかにさびしく荒涼なものであろう。」
(岩波文庫 寺田寅彦随筆集第二巻「相対性原理側面観」より引用)

今のところ、自分は学問を「もたれられるもの」として心の支えにしている。そのため、「必要か」という問いについては、習得としてではなく、存在としてあったほうがいい、というのが一応の結論だ。また極端な話、知識が無くても何一つ書けないなんてことはないわけだし、その人の音楽が必要とされるならその人はもうコンポーザーだ。しかし、よく知りもしないで「不要」と言ってしまうのもちょっと格好悪い気がする。

…………………………………………………

支離滅裂ですが、なんとか「必要か」が終わりました(汗)。

さてソロアルバムの情報、小出しの第二回です。

今回のアルバムは基本的にピアノ小品集という形ですが、ピアノ+フルート、ピアノ+弦楽4重奏(バイオリン1・バイオリン2・ヴィオラ・チェロ)、ピアノ+フルート+弦楽4重奏という編成のも数曲入っています。新曲が12曲、過去のアレンジが12曲の合計24曲で、半分が新曲ということになりますが、これまでずっとゲーム音楽をやってきたので絵の無いものを作るということで結構戸惑いもありました。ゲームサントラと違うのは、誰々のテーマだとかバトルテーマといった、はっきりとした悲喜交々の要素があまり必要になってこないということです。新曲はアルバム作成の忙しい時期に引越が重なったのですが、その引越がある意味テーマになっていたりします。そういうものがゲーム音楽ファンの耳にどう届くのか…?などと結構不安だったりしたのですが、個人的には結構満足できるものにはなったと思います。過去のアレンジについては次回の随想にて。

ミュンヘン郊外、動物園のそばの丘の上にある建物。この二階がレコーディングスタジオです。4日間続けてのレコーディングだったため、建物の関係者(?)が「(一階の)ビアレストランがそんなに気に入ったのかと思った」と笑っていたとか。

ソロアルバム 07/2/28

今度は3ヶ月も空けてしまい、まことに申し訳ございません。社内の音楽出版事業部からは、年末頃には既に随想録で公表していいと言われていたのですが、体力的にも精神的にも余裕がなく…気づくともうその企画はゴール直前となっていました。何を言ってるのか、まだ時差ボケが直っていないような…。

2月6日から16日まで、ソロアルバムのレコーディングで生まれ故郷のミュンヘンに行っておりました。何度やっても苦手に感じるピアノソロです。初めは80年代の人間らしいポップなのがいいんじゃないかとか、ゲームコンポーザーのソロアルバムの危険性を回避するにはどうすべきかとか、いろいろやらしいことも考えていたのですが、頑張って邪念を振り払ってみました(つもりの)ところ、やはりピアノでした。目の前に鎮座し微動だにしなかったのです。さらにその横には弦楽カルテットという、一番恐れ敬遠していた組み合わせまで。何でこんな面倒なものがやりたいのか、本当に不思議に思ったものですが。

まだCDのタイトルは決めていませんが、発売は5月下旬頃になりそうです。新曲と過去のタイトルのリアレンジ曲を合わせて20数曲。今回は選曲から、作編から、収録地選びまで、全てを任せていただきました。詳細についてはまた小出しにしていきたいと思います。

さて今日はアンリミテッド・サガの「天翔ける翼」の韓国語バージョンが出てきましたので一部公開します(本邦初公開)。歌手はパク・ヨンシンさん。コブシや歌いまわしで無理に色をつけることなく、ストレートに美声だけで「歌」を完成させる技術はものすごいです。この曲もピアノにしてソロアルバムに入れました。どうぞお楽しみに。



新ブース 06/10/12

日記に堕していいと思ってるのに書かないもんです。今日は日常的なことを。

新戦力の鈴木光人の入団もあり、この度サウンド室に窓ありの新ブースが作られた。そこでこの部屋に移りたい人は抽選で…ということになり、入社以来10年強もの間、ずっと窓なしのブースであった自分は、引越しの時間も十分ありと見て挙手。激戦を予想したが、希望者は自分の他に野田博郷只一人、諸事情で移動を希望したというものの既に窓ありブースの彼に負ける訳にはいかない(笑)。ジャンケンでアミダ籤の選択権を得るという方式で、アミダを引いた彼が敗北という結果になった。

これでサウンド室北側通路にある3部屋は、福井さん、関戸さん、自分と、子持ちの関西人コンポーザーで埋まることになった(3人合わせて110歳超!)。オッサン臭さ満開のストリートの袋小路に自分のブースはある。

窓外は新宿副都心のビル群。自分はあまり都会の環境は落ち着かない方だと思っていたが、想像以上に居心地がよく、曲作りにもいい影響が出てきている気がしている。

配信 06/8/29

「DIRGE of CERBERUS -FINAL FANTASY VII- MULTIPLAYER MODE Original Sound Collections」のダウンロード配信が発表されました。このサウンドコレクションはオリジナルサウンドトラック未収録曲、オンライン及び北米版専用曲、ショートBGM集など全27曲で構成されています。

今回の選曲、マスタリングはケルベロスにおけるほぼ最後の作業となりましたが、最近になってようやく落ち着いて聴きなおせるようになってきました。ケルベロスの世界観は無機質な和声の方がしっくりくるシーンが多く、自分の色が出しづらくて大変苦労したものです。暗い映画の音楽はサントラとして聴くのはしんどいもの…そんな向きになりそうだったのですが、必ずしもゲーム音楽にそれがあてはまるとは限らないし、何より自分自身やってて面白くない。巧い着地点はないかとあれやこれやと考え苛々することも多かったものですが、よく乗り切れたなあと思います。寛大なスタッフ抜きには考えられなかったことで、皆さんには心から感謝したいです。特にこの苛々のとばっちりを一番受けながら最後まで我慢してつき合ってくれたマニピの山崎に…(笑)。

作曲するために学問は必要か? その4 06/7/28

ある頃からなんとなくだが、作曲というものの中にある一定の法則を感じるようになった。楽典のような「この記号は何を意味するか」「この曲は何調であるか」などという音楽のイロハのような補助的な学問でも、作曲作業中に妙にリンクしてくる気がするときがある。やはり法則、理論は作曲の役に立つのかもしれない…と。

「気分良く作曲していたらエライところに転調してしまい、元の調に戻れなくなった…!」こんな壁にぶつかった経験のある方も多いと思う。自分も未だにこれに苦しむときがある。ここで問題にしたいのは、どうすれば元の調に戻れるかではなく、それに対する不安の心理的な解消法についてである。実はそもそも戻る方法自体がないんじゃないか、作曲の技法なるものを知っている人から見たら「それどうやっても無理ですよ。一から作り直さないと」と言われてしまうのでは?…と、かつてはこれは大変な恐怖だった。ただあるとき、そういえば確か楽典で「全ての調は辿っていけば全て親戚にあたる」みたいなこと(教材はこんな書き方はしてないと思うが(笑))を学んでいたはずだ、と思い出した。そして、

元の調に戻ることは可能と裏付けられていたはず

いつかきっとどうにかなるもの

安心!

というように考えていく。同主調の下属調からこうしてああして△×■÷○…みたいなややこしい話は自分にとってはとりあえずはどうでもいい。まず「何らかの道はあるはず」という安心を得ることから始めよう、と。それがあるとないのとでは、取り組み方が違う。ガンガン転調しても最終的にはなんとかなるはずだと思うと、限界点を置こうとしなくなってくる。俄然発想に広がりが出てくる(つもりになる?)という案配である。

と言っても、和声法や対位法などというものも、今日まで受け継がれているからには、何らかのきちんとした必然性があって成り立ち愛され続けてきたのだろうと思っている。思っているだけでどんなものか、どのように役に立つのか、まともに触れてこなかったのでどうにもできないのであるが、ただそれを修得した人の意見はほぼ挙って「あって損はないでしょう」だった。それを聞いた自分は「あの安心のような感じか?」と勝手に頷いている。だから「作曲に学問は必要か」というのを、訊く側である浜渦に訊いても仕方がないのである(笑)。

「理論で曲を書こう」と考える以前の問題、そもそもこの程度の知識を組み合わせたところで物理的に何も出来ないというのが実際だ。自分の中にある暴論ともいえる数少ない法則も、あくまで出来た曲あるいは出来つつある曲に対し、稀にその構造や機能を裏付けてくれる安心材料になる場合がある…という程度のものでしかない。

続く 「その5」で終わりましょう。

コラボ 06/6/16

E3のPV曲の作編とバイオリンソロのレコーディング、ケルベロスのオンライン、北米版それぞれの新曲など、春先からちょこちょこと作業があったのですが、大分落ち着いてきました(ここもどんどん書いていかなければいけませんね(汗))。その中でも光田康典氏とのコラボレーション『Sailing to the World Piano Score』はこれまでにない特殊な仕事だったのですが、とても楽しく作業をさせていただきました。ゲーム音楽のコンポーザーの曲をゲーム音楽のコンポーザーが編曲する…多少の食い違いみたいなものも「まあ出るは出るだろうなあ…(笑)」なんて予測していたのですが、終わってみたらお互い想像以上の着地点だったのか、何度話しても気持ちが悪いくらいネガティブなキーワードが出てこず「次も何かやろう!」の連発でした。音楽の方向性も取り組むスタイルも性格も全然違うと思っていたんですが、歯車はバッチリ合ってたみたいですね。

詳しくはこちらへ
http://www.procyon-studio.com/

発進! 06/4/30

宮川泰さんの訃報を聞いたときはさすがにショックでした。子供の頃聴いていたオケ曲の9割がヤマト!というくらいで、MIDIをはじめた高校の頃には当時発売されていた音楽集に収録されていないBGMをリストアップし、知り合いからローランドのMT32を借りてきてビデオからの耳コピで勝手に音楽集を作ったりしたほどです(笑)。それからもう十数年にもなりますが、今でもカーステなんかで(娘がスキャットの真似をするくらい)よく聴いています。

確かチョコボのあとくらいでしょうか。宮川さんの知り合いの方にメールで「目標の人なんですよ」と伝えたことがありました。するとそれをご本人に伝えてくれまして、その後その方から、宮川さんは「僕なんかを目標にしていただいて…」と仰ってましたよ、と。メールながら恐縮しっぱなしでした。これはホントにちょっとしたやりとりだったので、もう伝えてくださった方も忘れておられるかと思いますが…。

訃報を聴いたのは深夜の東名高速の上。カーステの選曲を故人の交響曲に合わせ、そんなことを思い出しながら走ってました。

最近 06/3/31

先週、スペースディレイマシンでお世話になった、MOJORISINGの店主・横山幸雄さんが企画したイベント、「ピリカうぽぽ」に家族で行ってきました。「アイヌ文化・倍音交流&瓢箪スピーカーライブ・イベント」という、一見「?」な謳い文句がついているイベントなのですが、ワークショップあり、ライブイベントあり…と、とにかく盛り沢山。全てのイベントを見ることはできませんでしたが、一日たっぷり楽しんで参りました。説明しづらいので内容はこちらにて…(もう終わっちゃったイベントですが)。

MOJORISINGの存在を知ったのは昨年の6月。アイヌアートプロジェクトという創作集団によるトンコリ(樺太アイヌの五弦琴)のワークショップが同店で開催され、それに参加したのがきっかけです。横山さんは「彼に扱えない民族楽器はない(?)」とまで言われる方で、ライブではシンギングボールや口琴、ホーミーまで披露されておりました。私は民族楽器には大変疎いのですが、それでも結構ビビったものです。そんな横山さんあっての「ネロ」!ありがとうございます、ということでサントラをお渡ししてきました。

またアイヌアートプロジェクトもこのイベントに北海道から参加出演されており、 ちょっと前から(こちらから一方的に)懇意にさせていただいているということもあって、待ちに待った東京ツアーでもありました(先月札幌にあるプロジェクトの方が経営されているお店に押し掛けた際、ミニライブをやってもらったばかりなのですが(汗))。武蔵伝IIの「神獣の村」でアイヌの口琴ムックリを使おうと思ったのも、 彼らのスタンスに少し影響を受けてるところがあるんですね。それまで「ムックリのなんたるかも知らずにいい加減に使っていいものか…」と、何年も二の足を踏んでいたのですが…。トンコリもプロジェクトの方に作ってもらったのですが、これは私が近年久々に購入した楽器で、結構面白いので近々紹介させていただきます。

さて半年ぶりですが、「学問は必要か」をさっさとやってしまいましょう(汗)。…こういうのより日記形式のほうが楽なので、固いのはやはり止めとこうとも思う今日この頃ですが…。

作曲するために学問は必要か? その3

かつては作曲中に「これは禁則だったりするんだろうか」と狼狽えることがよくあった。「やはり彼らは理論で解決しているのだろうか…」さりげなく作曲科出身の人間に実際の作業について訊くと(そんな機会はそうそうないが)、
「別にヘンでなければいいんじゃないですか♪」
「ちょっとくらい音がぶつかったりしないと面白くないでしょう♪」
「理論なんか使わないですよ♪」
なんて飄々とした回答ばかりである。学んだ彼らは理論に縛られることなく、一曲一曲に自分なりのルールや方針を構築し(不協だ無調だと言ってもこれは大切だが)、その上で好きなものを書いている。理論に縛られていたのは、理論を知らない自分のほうだった。

ただ何年か曲を書いていれば、それなりのルールみたいなものは自分なりに見えてくる。まあ言っても「この曲調でこれはさすがにやっちゃいかんだろう」とか「苦しい時はこのコードで逃げよう」とかそんな程度のものだ。時代を考えても、不協を使ってはいけないとか調性音楽でなければダメだというわけではないのだが、例えば非常に単純明快なコードで構成されている曲の中に一カ所だけ不協がポツンとあったりすると、やはり聴いていて普通におかしい。ゲーム音楽、とりわけRPGなんかでは、メロがはっきりしているような誰にも解りやすい音楽が多用されるので、そういう意味では結構危険な方なのかもしれない。童謡のような解りやすい曲の方が作りやすい…なんてのは一概には言えず、一見複雑な和音を使った曲の方が展開の選択肢が多いことで楽だったりもするのだ。単純なのと稚拙なのは違う。ゲーム音楽は「普通におかしいかどうか」という免疫をなくしてしまうかもしれない危険性を孕んでいる-ということを現場の人間として強く感じるわけだが、それらをも一つのルール上のもの「おかしくないと思う人がいる以上それは市民権」の如く語られる傾向もなきにしもあらず。自分の曲を「これヘンかもしれん…」と思うこともある以上、このあたり大変な責任を感じるところである。

つづく

MOJORISING
http://www.amaneka.org/mojo.html

アイヌアートプロジェクト
http://plaza.rakuten.co.jp/AINUARTPROJE2000

タイトルBGM 06/1/27

ご無沙汰しております。とある方から仕事の依頼があり、今日も徹夜です。なかなか暇ができませんが、有り難いことです。

思い出しましたのでこちらを。当サイトのタイトルBGMのMP3版です。



再発 05/11/21

仕事が忙しいとは言え、まだ一年目のホームページで、もう2ヶ月近くも空けてしまいました。しかしこれはタイミングもあって…と隙を見て書いています。

サガフロンティア2のサウンドトラックが再発されることになりました。当SEMサイトの問い合わせメールに、同盤の再発希望が多数寄せられていたということで、音楽出版事業部のほうから声をかけていただきました。なんと有難いことでしょうか。

発売からもう7年にもなります。当時は悩むところが多かったものです。伝統か、自分である意味か、折衷案でも出せばいいものを、あろうことか私は後者を最優先してしまいました。なるほど自分でも「世間知らずらしい」と思うようなサントラです。例えば「アレンジしたおす」というテーマ、「ゲームに限ってすぐ新テーマが出る」ということに妙に疑問を持っていたからですが、「まあ、それにしてはやりすぎたわな」と振り返り、またそれくらいで初めて提案になりえたかも…と勝手に解釈したりも。他にもピアノだらけとか、虚脱感のある曲を多用するとか、人を食ったようなエンディング曲等々、よくもまあこれだけ恐ろしいことをしたもんだと思います。しかし、後々の自分の音楽のアイデンティティを支えるものとして、このサントラは未だに最重要な位置に存在しています。そんな我が侭放題な作品に対し、再発の希望をいただけるとは、これほど有難いことはありません。リスナーの皆様には深謝申し上げます。

自分が曲を書くのは、「漠然と聴きたいものがあるにも関わらず、探してもそれらしいものがどこにも見つからない。それならばそれを自分で用意する」という考えからで、何年も変わりません。ただ、ゲーム音楽の仕事は、必ずしもその希望を叶えるためのものではありません。大勢の人がプレイするゲームですから、絵に合うもの、皆が納得するものでなければなりません。しかし「ウケてナンボ」というのもそれまた見る人によっては格好悪かったりしますし、また新しい発想を披露していくのもプロの仕事とも言えるので難しいところです。サガフロ2以来「いかに臆さず自分をねじ込んでいくか」というものとの戦いが続きます。そこには大きな壁があるものですが、これが出来たものほど、自分としては「いい出来に仕上がった」と思うのです。ここのところ、サガフロ2ほどの冒険はしていないのか、悪い意味で大人になっているところを自分で感じています。武蔵伝・は、受け皿の広い世界観もあって、「幾分か引き戻すチャンス」と色々やってみました。まあまあ上手くいき、また何年か先に聴いても比較的安心できるだろうものになりました。が、理想を言うならまだ隙は多いです。

要するに…私が私自身のファンであったと仮定するなら、「サガフロ2のようなことはまたいつやるのか」と苛立っているだろうと思うわけです(笑)。

ここ数ヶ月、ありがたいことに忙しい日々を送らせていただいてるのですが、そんな中、ふと、もしやもうこの歳で「あの手の曲作り」ってできなくなってるのかと思い、仕事と全く関係のないところで、久々に鍵盤を探ってみたのですが…、心配は無用でした。で、一曲出来てしまったので…。世界観がこれまでとは全く違うゲームなのですが、そんな中に、駆け込みでぶち込んでみたものです。たぶんハマっていると思うのですが。

再発の詳細についてはまもなくCDページにて公式に発表されます。暫しお待ち下さい。

作曲するために学問は必要か? その2 05/9/29

かくいう自分はどうだったかというと…。ソルフェージュのクラスでは中級でいられるかどうかという程度で、ことに和声初級、中級という、作曲により近い内容の講義(声楽科の学生も必須科目として履修しなければならない)の成ムは、それぞれ可と良…単位取得にギリギリという惨状であった。当時自分は「作曲をするにはある程度の音楽力が必要であろう」と思いこんでいたので、またこの上にこれらを当然のように、さらには対位法という謎の技法(笑)までも修得している作曲科の人間が多数存在することを考えると、自分から「俺は作曲をする人間である」と宣言することに抵抗を覚えるようになったものである。

自分の音楽力がどの程度のレベルなのかだんだん見えてくると、「やはり俺はこっちだ」とますますDTMに走った。音楽力…と言っても、決して才能の先天的な領域の話ではなく、単純に訓練でそれなりに身になるものでもある。DTMにも修得すべき要素は山のようにあるし、そもそも音楽を創ることには変わりはないのだが、「そんな難しそうなものとあまり縁が無さそう」というこじつけにもたれかかろうとしていた感覚は確かにあり、要するに元来勉強(知識の蓄積という意味での)嫌いだった人間が、その作業からの逃亡を図っていただけのことであった。必要かどうか、試すことすらせず…、近年、本というものを大分読むようにはなったが、音楽関係の書籍はその中には全くないまま今日に至るのである。

つづく

知られざる仲野順也 委員長編 05/9/9

「昨日見た夢」をベラベラ喋るのはサブイこととされているが、誰しも「今回のだけは面白いから」「この人ならばウケてくれるに違いない」というのはあるのではないかと思う。自分も以前「これは仲野さんなら…!」と確信し、話したことがあった。

とある政党の委員長が何故か私の家にやってきた。総裁や代表であれば、家で一番マシな部屋に通すことになるだろうが、”委員長”というだけあって、こちらがどうこう言う前に、
彼はさっさと「あ、私はここで」と狭くて汚い台所の椅子に窮屈そうに腰掛けた。「党名が変えられないのはやはりあれですか、やはり内部から色々あるわけですか。」と私がぶっきらぼうに質問したところで終わる。

こんなので転げるように笑ってくれるというのは、長年のつきあいから生まれた癌細胞のような暗黙の笑いのツボなのかもしれない。だからこのネタは他の人には恐くてなかなかできない。もちろん「この笑いが解らない奴は…」みたいなものではない。単純に、普段話題にするネタにそういうのが多かったこと、その上での信頼と感覚のリンクがあったからであろう。昨日もこの原稿の掲載許可を仲野さんにもらいにいったら、チェックも忘れ、道州制や、あ○は○と聖○○聞を同時にとる家の妙など、下世話な話題で盛り上がっていた。それにしても涙を浮かべるほど、声にならぬほど笑ってくれるとは。

ここ数年はそれぞれの時間帯があり毎日会ってというのは少なくなったが、入社したときは共同製作のオリジナル音楽集を作ったり、テクノ進化論を交わすなど、毎日二人して連んでいたものである。

情報源の少なさが仲野流。それをここで時々とりあげ…と、もう少し先にするつもりでしたが、選挙のタイミングもあって仲野秘話倉庫の中からこれを持ってきました。

「権利」なので自由だとは思いますが、とりあえず今回も投票に行ってしまうと思います。シャレにならないことがそこかしこにあったりするわけですが、「政治なんかに流されないのさ!(…ニヤリ)」などと風来坊を決め込むことに、思いやりがないような、はたまた不感症を宣言しているような、そんな間抜けさを感じてしまうので、私の投じる理由はその程度でしょうか(笑)。

作曲するために学問は必要か? その1 05/8/31

時々ではあるが「作曲するために学問(理論)は必要か?」と訊かれることがある。いつも困って「それは、えっと…(笑)」などと歯切れが悪い回答になるが、要するに「わからない」である。

自分は大学は声楽科で入学した。「声という楽器を作る」という経緯を含むからか、また後発でも学びやすいというところがあるからか(変声期以降に声が作られるという理由もあろう)、声楽科は他の科に比べ、基礎音楽能力の弱い人間が多いとされているようだ。

<ここでいう「基礎的な音楽力」は、楽譜を読み覚えるのが早い、初見で演奏できる、聴いた音が何かを言える、また譜面に書ける等、主にソルフェージュ能力、「要するに出来る方なのかどうか?」というようなものとしておく。近年これらの能力が絶対音感と混同されることが多くなってきているようなので注意されたい。無論、私には絶対音感など無い。>

私の見た限りではあるが、ソルフェージュの授業のクラス(レベル)分けを見ても、下位に声楽科が目立っていた気がする。まあ声楽どころか音楽そのものを始めたのが高校生になってから、という人間もいたし、不思議ではない。もちろん全員がそんなわけではなく、凄いのもいることはいるし、声楽科は音楽力が無い者が目指すものでもない。

かくいう自分はどうだったかというと…。

(力尽き)つづく

と、8月はレコーディングの準備等で随想どころか随の暇も無しでした。しかしこの大編成は…。

05/7/20

随想録も結構ネタは揃ってきたのだが、いざ載せるとなるとどうも二の足を踏んでしまうものばかりである。育った環境のこと、好きな音楽のこと、大学時代の話、音楽理論の話、音楽と関係のない話、知られざる仲野順也の素顔…まだまだあるのだが、こう並べてみると、「一介の社員が!」と自嘲、赤面するに結する。いや、意外とビビっているのは自分だけで、「どんな内容でも『而して現在は』と落とせばそう通らなくはない」…という考え方もあるといえばある(汗)。はじめてわずか3ヶ月、まともなネタはマニピの話だけだが、ここは大仰に「ぶっちゃけ」の決意を表明し、自分にその責任(こう言えば引き下がれない状況)を改めて科してみようというのが、今回の何やらである。…今後とも宜しくお願いします!と意気込むものの、ネタにもやはり出しやすさに順序がある。その第一の標的は、武蔵絡みもあるということで仲野さんになりそうなのだが…。

さて本日は他に二点。「ネタバレは随想録」で、ということになりましたので僭越ながら。ともいっても落としどころもない話なのですが、トップページのフラッシュにつきましたあの曲は私と山崎です。私が鍵盤、山崎がPC…そんな配置で「せーの」で作ってました。フラッシュで曲が鳴るというのは結構諸刃の剣だったりします。
・そのサイトに何度か来てるのに鳴るとつい驚いてしまう、
・一度聴けば十分なのに何度も耳障りである、
・音質が許せん
…などなど悪い効果もあるものです。
このあたりを考え、「鬱陶しくないように」というテーマでやってみました。まあ…難しいもんです。と、実はこの曲、今度は仲野さんの前奏が加わったバージョンが!スクエニパーティでただ一度流れます。貴重ですよ!…この人は本当に職人です。

それと武蔵伝2のサントラ、もう発売日ですね。是非宜しくお願いします(by仲野、山崎)。CDだけの特典というわけではないですが、ゲーム中では聴けない部分(終止部)がついてる曲もありますので、購入を迷われている方は是非検討材料に入れてください(笑)。

販促…! 05/6/28

今日は宣伝です。武蔵伝Uの発売まであと10日を切りました。またサントラもそれから二週間で発売されます。これ(洛陽紙価)を記念(祈念)して、ちょっとしたサイト内企画を準備してもらっています。曲目解説に対談、さらには試聴まで。7月は武蔵月間!…ということで、まもなく始まります。(←こればっか)

マニピ4 05/6/14

ライナーや雑誌インタビューで作曲家の写真がデカデカと掲載され、幅を利かせているように見える裏で「実はアレンジャー抜きではあり得なかった」なんて話はどの音楽業界でもあまり珍しくないが、同じように場合によってマニピ抜きではあり得ない曲もたくさんある。実はこれはそれほど「実は」という話ではないはずで、最終のアウトプットまでにスタジオエンジニアら多くの人間が間に入り、その曲の大勢を決めることは至って普通の話である。時々耳にする、一流編曲家あたりの「とりわけこの国はそうだ」という不満のように、どこの音楽業界でも作曲家先生が一番偉く、どんなプロセスがあっても最高の功労者として支持を受けてしまうところがあるが、それは世間の判断でもあるのである意味仕方がないところがある。しかし、そこに確実に存在し、オープンにすべき見事なサポートが、肝心なところで語られないケースが目について仕方がない。かつてのクラシックの作曲家も劇場の演奏家の能力や個性に合わせ、また彼らの意見を採り入れつつ作曲していたわけで、各ジャンルの名だたる作曲家、歴史的な作曲家と同じように、このあたりをオープンにした程度で名誉に傷がつくことはないはずなのだが、あるいは想像もつかない何かがあるのか、私には判らないところではあるが…(笑)。

とは言え、彼らが自分からアピールするのも無粋な話ではあるし、やはりここは利用している側、コンポーザーが彼らの存在を前に出すべきではないかと。と、いうことで、マニピにスクエニミュージックサイトでは作家と同じ位置に出てもらいました。その第一陣、山崎&野田のマニアックなシンセサイザーコンテンツ、まもなく登場!…のはずです。

マニピ3 05/6/6

そんなマニピの試練の一つ…かどうか、「コンポーザーの領域へ踏み込むべきか否か」というものがある。コンポーザーから渡されたMIDIデータを開くと、そこに時々マニピュレート以前の問題が発見されることがあったりする。本来そこにあるべき音がない、楽器編成や奏法がおかしい、時にはコードが…!なんてものまで(笑)。これは当然、作った側の責任なのだが、そこはコンポーザーのアイデンティティの部分。そこへの踏み込みは、マニピとしては当然躊躇を伴うはずだ。楽器を理解した上での譜面であればあるほど、演奏家からいい演奏が引き出せるように、マニピも当然稚拙なMIDIデータを待っているわけではない。音楽を判断する力、そして提言出来る勇気!それらを持つマニピは本当に力があると言えるだろう(笑)。そして間違いなくそういうマニピはスクエニに多く存在する。で…(次回、マニピ篇第一章とりあえず最終回です)。

マニピ2 05/5/23

スクエニのシンセサイザーオペレーター(マニピュレーター:以下マニピ)は音楽のアウトプットの部分に携わる専門性の高い職業であるが、それ故に純粋に音楽性に於いても秀でてくるということがある。彼らの音楽性がスクエニサウンドチームの出音はもちろん、音楽そのもののクオリティも上げていると言ってもいいと思う。普段は「音の差し替え」だけをやっているような印象を持たれやすいが(あるいは何やってるのかさえ知られていなかったり)、実際は楽曲そのもの、譜面の領域にまで関わるケースも珍しくない。出音をいじれるということは様々の楽器についての知識があるということであり、楽器学の蓄積は演奏法や編成、バランス調整等の知識にも近づく。そうなれば必然的にある程度の演奏家的なアプローチなどの音楽的素養も身についてくる。常に楽曲を客観的に分析し、最も適した出音、演奏を捻出している彼らが、多くのジャンルを(たとえ「なんちゃって」でも)こなさなければならないゲーム音楽作家より、楽曲の良し悪しの判断力に長けているところがあってもそう不思議ではないということである。

もちろんマニピにも様々なスタイルがあり、何でも完璧に音を配置できるわけでもない。また判断力があるからコンポーザーと同じように作曲ができるかというと、得意分野に於いては相当な作品を作り上げる力も持っているものの、なかなか手広くはできなかったりする。しかしやはりアウトプット、スクエニのサウンドは…という部分における彼らの影響力は大きい。ならば、その彼らの作業は何故見えにくいのかなぁ〜と、次回へ。

マニピ 05/4/20

職種名シンセサイザーオペレーター、音楽業界では通常マニピュレーターであるが、スクエニサウンドチームではそう呼ばれている。基本的な仕事の内容は「出音をよりよくする」という認識が強いが、実際には曲のアプローチ、アレンジ、コード修正(笑)などにまで触れるケースも珍しくはない。彼らの存在はこれまで公には謎とされている印象が強かったが、世の様々な音楽と渡り合えるサウンドを産み出すためにはなくてはならない存在であり、もっと知られていい職種ではないかと思っている。

と、この続きも延々と書いていたのだが、推敲の時間がとれず…いやいやとりあえずでもとも思ったが、またその続きの内容が徐々に危険なものに発展しつつあったこともあり、次回以降うまく修正しながら触れていければと思う。


さて固くない話の一つも。今日はサウンドプログラマーの赤松氏にギターを試しに弾いてもらったのだが、これがまた滅茶苦茶によかった。氏にはUサガでも一曲(BT Ver.AG)やってもらっていて、山崎君が中心にディレクションをしながらというカタチが出来上がっている。今回も山崎ブースで簡易に録ったのだが、普段打ち込みばかりやってる我々としては、どんな形であれ生演奏に触れるのは気持ちがいい。スクエニサウンドチームには素晴らしい演奏家が少なくなく、同じくサウンドプログラマーの大堀氏のサックスもプロ級で、こちらも先日社内で試験的に録音させてもらったが、度肝を抜かれた。うまくすれば何かのゲームで…と考えている。
上・山崎良 右・赤松智

それにしてもスクエニMUSIC-TVでのグダグダは恥のかき捨てとして諦めるしかない。
そもそも随想… 05/4/1

昨年晩夏の提案から約半年、なんとかサイトオープンにこぎ着けることが出来ました。サイトの立ち上げについてはサウンド室外部から何かあったわけではなく、所属のコンポーザー&マニピュレーターの自発的なところが大きいです。会社員でありながらある程度求められる人気商売のスタンス。安否情報くらいあってもええやんねぇ?…みたいなところは皆の感じるところだったようで、計画開始までは思いの外すんなりいきました。しかしいざ始まると誰もが未経験の作業、最後のドタバタはエラかった。この原稿もオープン前日の今、3月31日に慌てて書いているところです。

さて、UTVでも紹介されておりますように、コンポーザー&マニピそれぞれの個人コンテンツなるものが今後次々とオープンしていく予定です。気づくと、私浜渦のコンテンツで何するかがまるで決まってませんでした。いやきっと、またライナーのノリで、楽しいゲーム音楽の実際を赤裸々になんやかや書き殴るであろうと、なんとでも解釈できる「随想録」という甚だ漠然としたネーミングのものを突貫で作ってみました。結構ヤバイかもしれません。

元イ。よく質問を受けるゲーム音楽の実際について、自分の極端な例を交えて綴っていければと思っております。日記或いはメモに堕する可能性もありますが、よろしくお願いします。

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