ニンテンドーDS版CHRONO TRIGGER Original Soundtrack 発売記念 光田康典スペシャルインタビュー

光田康典
光田康典
1972年、山口県出身。スクウェア(現スクウェア・エニックス)入社後は、『ファイナルファンタジーV』をはじめとしたゲームの効果音などを担当し、1995年に『クロノ・トリガー』で作曲家デビュー。現在は自身のレーベルを立ち上げ、活躍中。
『クロノ・トリガー』や『ゼノギアス』などのゲーム音楽をはじめ、アーティストのプロデュースや映画音楽を制作するなど多彩に活動する音楽家・光田康典。実は彼の音楽家としてのデビュー作こそが『クロノ・トリガー』だった。『クロノ・トリガー』の音楽世界が生まれた背景と自身のルーツについて語ってくれた。

ニンテンドーDS版「クロノ・トリガー オリジナル・サウンドトラック」は、まさに『クロノ・トリガー』音楽の完全版ですね。

『クロノ・トリガー』のサントラは今回で3枚目なんですけど、全ての楽曲が入っているのは今回が初めてですね。PS版では僕が書いていない曲もあるのですが、今回はそれについても監修させてもらっています。さらにDVD特典で映像も付いて、しかもオーケストラ・バージョンが入っています。最初に『クロノ・トリガー』を手掛けた13年前はスーパーファミコンだったこともあり、容量やトラック数などの制約がたくさんある中での作業で「もっとこうしたいのに!」というもどかしさがありました。オーケストラで自由にやるのが憧れでしたからね。そういう意味では、13年越しの集大成と言えますね。

13年前、『クロノ・トリガー』は、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏、鳥山明氏、『ファイナルファンタジー』の坂口博信氏の3人によるビッグ・プロジェクトとして話題になった。でも光田さんは、堀井氏のことをご存じなかったそうですね。

今だから笑って話せますが若かりし頃の僕は、堀井さんはおろか、『ファイナルファンタジー』の坂口さんも、スクウェアという会社のこともよく知らなかった(笑)。だからこそ、最初は気楽だったんですけど、逆にどういう人たちが関わってるだとか、プロジェクトに対する周囲の期待の大きさだとかを知るにつれてプレッシャーも次第に大きくなっていっちゃいまして・・・そのせいで制作中は何度も胃潰瘍になっちゃったんですよね(苦笑)

スタッフサイドから、こういう音楽にしてほしいとか注文があったんですか?

それは、全く何もなかったんです。音楽に関しては、好きにやらせていただけたんです。多分みんな自分が担った仕事のことで手一杯だったからだと思うんですけどね。面白いエピソードとしては、メインテーマを最初に作ったときNGが出たんです。僕は「これが新しいんだ」と言い張ったんですが、メインテーマにしては弱いと言われて。でも、結局書き直さずに最後の最後、もう時間がないってギリギリのとき、NGになったやつをまたメインテーマにと出したら、結局それがいちばん印象に残るって言われてOKが出たという(笑)

やっぱり自信があった?

正直、自信はすごくありました。完全無国籍ということと、ゲーム音楽にジャズ的な要素を採り入れているものは、当時はほかになかったですから。それに僕みたいな無名の作曲家が何をやったところで、誰も何も言わないだろうと思って(笑)。その分自由にやれたところもありますね。

それでなくともたくさんの音楽知識が必要とされると思うんですが、『クロノ・トリガー』はさらに様々な時代を舞台にしていますし、音楽面でのご苦労も多かったのでは?

それが、そんなに苦労はなかったですね。僕は様々なジャンルが好きでしたし、色々な音楽を聴いていましたので、引き出し的なところでは困ることはなかったんです。学生時代はソウルからテクノ、プログレ、UKロック、ビートルズなどいろいろ好きだったし、専門学校のときの先生がワールドミュージックをやっていたので、ブラジル、ラテン、ケルトも聴いた。ほんといろんなジャンルを聴いてきました。

そういう下地があって、『クロノ・トリガー』という壮大な音楽を生み出せたんですね。

曲書きって面白いのは、何か吸収して蓄積したあとは吐き出したくなるんです。ちょうど『クロノ・トリガー』のとき、吐き出すタイミングだったんでしょうね。学生時代からいろいろな音楽を聴き、音楽学校で作曲の仕方や音楽理論を学び、そのあとも先生の弟子についてスタジオワークや譜面の書き方などを深く学びました。知識や情報を得る事で、いろいろなサウンドをやりたいと強く思っていたときに、ちょうど『クロノ・トリガー』の世界観が僕のやりたいこととマッチしてて・・・。僕の中に溜まっていたありとあらゆる想いと発想が、この作品にドドドッと注ぎ込まれた感じです。

音楽以外から影響を受けたものはありますか?

僕は本が好きですね。なので本からは影響を受けることが多いです。というのは、あんなに厚みがあるのに最初から最後まで飽きさせない構成になっている。たとえば推理小説とか、頭に犯人を明かしておいて推理していく過程を見せるやり方とか、逆に犯人を最後に見せるやり方とかいろいろありますよね。そういう構成って音楽と似ているんです。サビで始まる曲とか、ちょっとひねくれた構成にするとか・・・。音楽を作る上でのヒントがたくさん転がっているんです。絵もそうで、父親が油絵を描いていた影響で、昔は絵描きにもなりたかったんです。たとえばゴッホが好きなんですけど・・・何だろう、すごい寂しいのが好きなんですよね。ゴッホはノスタルジーっていうか。

ゲーム音楽を作る上で気をつけていることは?

僕が曲書きで常に気をつけているのは、情景が見える音楽ということなんです。曲を聴いただけで今どういうシチュエーションにいるのかわかってもらえるもの。サントラとか、音楽のみになったとき、音楽だけで聴いてくれる方もたくさんいらっしゃると思うんです。そういう方でも、ゲームをやらなくてもこういうシーンだろうな?とか、今こういう情景なんだろうな、と楽しんでもらえるような音楽を作りたいと思っています。それはこれから先もずっと、僕のテーマでもありますね。

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光田康典公式サイト“Our Millennial Fair”
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